2025/05/03 13:30
北海道生活
北海道 宿根草の育て方|5月 春の庭仕事と成長の変化を楽しもう
北海道のバラや宿根草、芝生や樹木、病害虫についてなど季節のお手入れ・管理をプロの皆さんが伝授。ここでは、「宿根草・草花」についてお伝えします。
文・写真:高林 初さん(苫小牧市・観光庭園 イコロの森)
春の作業を行ないながら、成長の変化を観察する楽しみ
北海道でも春が本格化し、庭全体が一気に動き出す5月。宿根草の芽が伸び、花壇にぐんと緑が増え、庭づくりの楽しみに触れられる季節です。新しい発見の多いこの時期に、ぜひ宿根草の魅力を感じてみましょう。
5月は、花壇全体のバランスや、植物の健やかな成長にも関わる大切な作業がたくさんあります。
◆今がチャンス!春の除草作業
宿根草が芽吹くのと同じように、雑草たちも勢いを増す季節。草丈が伸びる前に除草しておくことで、花壇の美観を保つだけでなく、宿根草がのびのびと育つ環境を整えられます。
【 ポイント 】
・宿根草の芽を傷つけないように注意すること!
・雨後などの土が湿っているときが抜きやすい。
・継続的な管理が大切。こまめに見回って、こまめに抜くと負担も少なくてラク。
特に春は、宿根草と雑草の見極めが慣れていないと難しく感じるかもしれません。植えた宿根草を覚えておくことが大切ですが、挿しておいたネームプレートで見分けたり、植栽図を残しておいたりするのも一つの方法です。

こぼれダネがたくさん。これらも丁寧に除去することで、育てている株がしっかり育つ
◆株分けでリフレッシュ&花壇の模様替え
5月は「株分け」の適期です! 前年に成長が鈍かった株や花付きの悪かった株を見直して、新しい場所へ植え替えたり、株分けしてリフレッシュさせましょう。株が混み合っている場所の整理にもつながり、花壇の風通しもよくなります。
【 株分けの流れ 】
①株を掘り上げ、傷んだ根や古い部分を取り除く。
②鋭利なスコップなどで2~4株に分ける。
③新しい場所に植える際は、堆肥や腐葉土を混ぜておくと根張りがよくなる。
④植えたあとは、たっぷりと水を与え、数日は乾燥に注意して様子を見守る。
・おすすめの宿根草/アスチルベ、ホスタ(ギボウシ)、エキナセア、ルドベキア、夏咲きのフロックスなどの定番種は、株分けしやすく初心者にもおすすめです。

2本のフォークを背中合わせにし、割くように株を分ける方法もある。根を切断しなくて済むので、種類によっては傷みが少ない

スコップで切れない場合はナイフやノコギリで分けることも
◆春の支柱立て
伸び始めた植物の中には、今後の成長で倒れやすくなるものもあります。支柱の設置は花が咲いてからより、芽吹きの段階で行なっておく方が自然に支えられます。株元からほんの少し離して支柱を立て、茎を軽く支えるようにしましょう。
【 見た目のよい支柱立て 】
・木の枝などを使ったナチュラルな支柱は、景観になじみやすく、庭の雰囲気を壊しません。
・竹支柱+麻ヒモや、リング型支柱なども活用を。植物に隠れるよう設置すれば目立たず、見た目もすっきり。
・株元からほんの少し離して支柱を立て、茎を軽く支えるようにする。

シャクヤク用に仕立てた、木の枝を活用した支柱

左/シャクヤクの成長とともに支柱は隠れていく 右/開花直前、支柱はすっかり隠れて茎を支えている
今月の観察ポイント
春の勢いにまかせて日々変化していく庭は、観察するのが何より楽しい時期です。
【 チェックしてみよう! 】
・春に咲くプリムラ、ブルンネラ、アネモネ シルウェストリスなど、咲き始めの花や蕾(つぼみ)の膨らみ方を観察するのは面白い。

左/プリムラ‛ゴールドレース’ 右/ブルネラとプルモナリア

左/アネモネ シルウェストリス 右/サンカヨウは優しい雨に当たると花びらが透明になる
・昨年より株が大きくなっている株や、今まさに勢いよく育っている種類なども観察してみよう。

ヤグルマソウは勢いよく成長し、個性的な形の大きなを葉を展開させる
新芽の色や質感、葉の展開の仕方など、花の種類や品種ごとの個性にも注目してみましょう。変化に気づくたび、自然と植物への愛着も湧いてくるはずです。気になった植物はメモしておくと、次の作業や来年の植栽計画にも生かせます。
5月の庭は、手をかけるほどに応えてくれます。除草や株分けなどの基本的な作業を通して、宿根草のある暮らしをより楽しんでみてください。
プロフィール
高林 初
英国Writtle College(リトルカレッジ)にてガーデンデザインを学ぶ。現在は、苫小牧市にある「イコロの森」の勤務、ヘッドガーデナー 。設計からメンテナンスまで庭づくりの幅広い経験をもとに、宿根草ガーデンの管理・栽培等を担当。
Instagram ikor_no_mori
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