2025/06/14 13:00
北海道生活

ポタジェ|収穫は秋!栄養豊富で手軽に育てられる「ヤーコン」

見た目は地味。でも栄養豊富で、手軽に育てられるのが魅力の「ヤーコン」。今回は、ヤーコンの栽培や特徴などをご紹介。
このコーナーでは、季節ごとの野菜やハーブ、花や果樹など、相性のよいコンパニオンプランツを組み合わせながら育てて楽しむ“ポタジェのある暮らし”を紹介していきます。お料理や花のクラフトも。

文・写真:藤井 純子さん(ピュア・ポタジェ代表)



市民農園や貸し農園などを借りて野菜づくりを楽しまれている方も多くいらっしゃいますが、「まめに通えない…」「こまめな手入れができない…」そんな悩みをよく耳にします。そこで今回は、手間がかからず栽培できるうえに、栄養も豊富な「ヤーコン」の栽培や特徴をご紹介したいと思います。

ポタジェ|収穫は秋!栄養豊富で手軽に育てられる「ヤーコン」

見た目はサツマイモに似ている


ヤーコンとは

「ヤーコン」は、キク科、多年草の植物。南米のアンデス地方が原産で、先住民によって紀元前から利用されてきたそうです。ヤーコンは病害虫にも強く丈夫で、アンデス地方が原産のため比較的冷涼な気候を好みます。ホームセンターなどで販売されている苗を利用すると手軽に栽培できます。

ポタジェ|収穫は秋!栄養豊富で手軽に育てられる「ヤーコン」

少量を栽培する場合は苗を購入するのがおすすめ

ヤーコン栽培


ヤーコンは広めの栽培スペースが必要なので、1株につき1m×1mの広さを確保しましょう。日当たりと排水性のよい土壌を好みます。霜や低温には弱いため、しっかりと気温が上がった頃(札幌では5月中旬~6月初旬)に定植しましょう。

ポタジェ|収穫は秋!栄養豊富で手軽に育てられる「ヤーコン」

札幌では5月中旬~6月初旬にヤーコンの苗を定植

1カ月に1度ほど、除草を兼ねて土寄せをします。茎葉が枯れる前の10月中旬~下旬くらいに収穫を行ないますが、この頃には草丈1.5~2mほどの高さにまで成長するので、モニュメントのような存在感があります。

収穫する際は、上部の枝葉を切り落としてから、スコップで掘り上げます。株元に密集するように塊根(※)が付いているので、ハサミで切るか、ポキポキと折りながら収穫しましょう。

※「塊根(かいこん)」とは、根の一部が肥大して塊状になったもの。

ポタジェ|収穫は秋!栄養豊富で手軽に育てられる「ヤーコン」

1株で2~6㎏ほど収穫できる

収穫後は軽く土を払い落として1本ずつ新聞紙で包み、ビニール袋などに入れて冷暗所で保存します。1~2週間ほど貯蔵すると、でんぷんが糖に変わり甘みが増します。保存状態がよければ3カ月ほど日持ちしますが、一般的には1カ月ほどで水分が抜けてしなびてくるので、早めに食べるのがおすすめ。

ポタジェ|収穫は秋!栄養豊富で手軽に育てられる「ヤーコン」

ヤーコンの花。ヒマワリに似た小さな花が咲く場合もある


苗づくりについて

塊根が付いていた部分は「塊茎(かいけい)」と呼ばれ、貯蔵しておくと翌年の苗をつくることもできます。塊茎を段ボールに入れ、モミ殻を隙間なく入れて冷暗所に貯蔵します。翌年の春先に、2~3個の芽が付くように株分けをして、ビニールポットに植え付けて苗をつくります。苗づくりは少々手間がかかりますが、貯蔵スペースがある方はチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

ヤーコンをお料理に!


ヤーコンに含まれるフラクトオリゴ糖(難消化性オリゴ糖)は、善玉菌を増やし、悪玉菌を減らす作用があるといわれ、腸内環境を整える効果があるといわれています。そのほかにも血糖値の上昇を抑えたり、動脈硬化の予防にもよいといわれています。また、水溶性食物繊維も多く含まれているため、フラクトオリゴ糖との相乗効果で便秘の改善や美肌効果なども期待できますよ。

ヤーコンの葉を乾燥すると「ヤーコン茶」としても利用できます。ヤーコン茶は血糖値の上昇を抑える作用や抗酸化作用があるといわれ、健康茶としても人気です。
見た目はサツマイモに似ていますが、サツマイモのように蒸したりせず、炒め物やサラダなどがおすすめです。生で食べると梨(ナシ)のようなシャキシャキとした食感でほんのりと甘みがあります。


*ヤーコンのサラダ

ヤーコンは空気に触れると黒く変色してしまうため、千切りにしたら2分ほど水にさらします。ザルにあげて水気を切って、お好みのドレッシングなどをかければサラダに。

ポタジェ|収穫は秋!栄養豊富で手軽に育てられる「ヤーコン」

ヤーコンに含まれるフラクトオリゴ糖は、長時間水に浸けると流れてしまうので、さっと水にさらすのがポイント


*ヤーコンのきんぴら

千切りにしたヤーコン(あく抜き不要)とゴボウ、ニンジン、豚肉を入れたきんぴらは、ボリューム満点な一品になります。ヤーコンの優しい甘さが口いっぱいに広がります。

ポタジェ|収穫は秋!栄養豊富で手軽に育てられる「ヤーコン」

お弁当のおかずにもぴったり

見た目が地味な印象のヤーコンですが、栄養も豊富で、手軽に育てられる魅力的な野菜です。収穫は秋なので、今からでも菜園に取り入れてみるのはいかがでしょうか!

プロフィール


藤井 純子
「Pure Potager(ピュア ポタジェ)」代表。ポタジェ・アドバイザーとして道新文化センター札幌校などのセミナー講師のほか、新聞・雑誌にて執筆活動を行なう。また、ポタジェの魅力を一冊にまとめた「Green Finger ポタジェ~小さな庭が与えてくれる恵みと幸せ~」を執筆。「コーチャンフォーミュンヘン大橋店」で取り扱いのほか、HPに掲載のネットショップを利用。またはAmazonでも販売、「ポタジェ」で検索。

HP  ピュア・ポタジェ 
Instagram pure.potager
YouTube ポタジェ『心と身体を癒す庭へようこそ』 @lifewithpotager401



スマホへのインストールはこちらから

おすすめ


  • 北海道 宿根草の育て方|6月 庭を楽しみながら‟基本的な手入れ”


  • ポタジェ|身近な野草!草餅や草団子で知られる「ヨモギ」の魅力


  • ポタジェ|じつはハーブ、日本三大薬草の一つ「ドクダミ」の活用法


  • 北海道 宿根草の育て方|5月 春の庭仕事と成長の変化を楽しもう


  • ポタジェ|春を味わう「ワラビ」料理と、庭でも育ててみよう!


  • ポタジェ|春が旬の栄養満点なニラ!春巻きレシピと栽培