2025/09/12 15:30
北海道生活
ポタジェ|街路マスの花壇に咲くラベンダーの手入れと活用
北海道の夏の花の定番「ラベンダー」。今回は、街路樹マス花壇のラベンダーの手入れと地域のイベントに向けた活用法など紹介します。
このコーナーでは、季節ごとの野菜やハーブ、花や果樹など、相性のよいコンパニオンプランツを組み合わせながら育てて楽しむ“ポタジェのある暮らし”を紹介していきます。お料理や花のクラフトも。
文・写真:藤井 純子さん(ピュア・ポタジェ代表)
爽やかな香りと薄紫色の花が美しいラベンダー。とても親しみやすく人気のあるハーブですね。
今回は、地域の方と一緒に手入れをしている、札幌市南区真駒内の街路マス花壇に植栽されているラベンダーの様子を交えながら、ラベンダーの特徴や栽培、上手にドライにするコツについてご紹介したいと思います。

札幌市南区真駒内の街路マス花壇に植栽されているラベンダー(6月30日撮影)
現在私は、9月15日(月・祝日)に札幌市南区で開催される「まこフェス2025」に向けた準備をお手伝いしています。「まこフェス2025」は旧真駒内緑小学校跡の“まこまる”を利用し、地域の方がプロジェクトメンバーとなって開催するイベントです。キッチンカーやマルシェ、体育館を利用した音楽イベント、校庭を利用した焚火、真駒内の歴史を学べる謎解き街歩きなどが行なわれ、室内では地域で収穫したラベンダーを利用したミニブーケづくりなどのワークショップも。
ワークショップで使用するラベンダーの準備に向けて、街路マス花壇に植栽されているラベンダーの手入れや収穫などの作業を地域の方と一緒に行なっているのです。

ワークショップでは、ラベンダーに赤い千日紅とラムズイヤー、ラグラスバニーテールを組みわせたミニブーケを作る
ラベンダー栽培のはじまり
ラベンダーといえば富良野が有名ですが、日本で初めてラベンダー栽培が始まったのは札幌市南区「南沢」です。 1937年、曽田香料(株)の創業者である曽田政治氏がフランスのアントワン・ヴァアル社からラベンダーのタネ5㎏を入手し、札幌、北見、千葉、倉敷で試験栽培を実施。その結果、北海道が適地であることがわかり、1940年に南沢に農場を開設し本格的に作付けが始まりました。1942年には日本で初めてのラベンダーオイルが採取されたそうです。

南沢3条4丁目 札幌南沢神社境内にある記念碑
ラベンダー(シソ科、低木)は地中海沿岸が主な原産地。高温多湿が苦手でカラッとした気候を好むため、北海道が適地だったこともうなずけますね。そのため、札幌の街路マス花壇にはラベンダーが植栽されていることが多く、私が手入れに関わっている真駒内の街路マス花壇も街の景色として親しまれてます。

約300mに約50株のラベンダーが植栽されている
街路樹マス花壇のラベンダー
街路樹マス花壇のラベンダーのお手入れは、5月から参加しています。花壇の様子とあわせて、主な作業をご紹介していきます。
◆春先の手入れ
ラベンダーは乾燥を好む植物なので、蒸れないように風通しをよくすることが大切です。雪が解け、枯れ葉などがある場合はきれいに取り除き、枯れている枝や前年に咲いていた花が残っている場合はハサミで切り取ります。

枯れ葉を取り除く

中にある枯れ葉なども取り除く

スッキリきれいに! 花が咲くのが待ち遠しくなる
◆収穫のタイミング
せっかく花が咲き始めているラベンダーを切ってしまうのは忍びないのですが、ラベンダーをドライフラワーとして利用する場合は、花が咲く前の“つぼみ”のころに収穫すると、色も香りもよく仕上がります。花も楽しみたい場合は、利用したい量だけ摘み採るのがよいですね。
今回は、花壇は景観として楽しむことも視野に入れ、イベントで使用する量だけを収穫しました。

ドライフラワーに使用する場合は、右のように花が咲いていない“つぼみ”のころに切るのがベスト

葉がついている1~3段目のから切る。赤いラインの箇所

イベントメンバーと一緒に収穫するのも楽しい

イベント用に収穫していることを地域の方にもわかるように、手作りの看板を置いて作業を行なった
◆ラベンダーのドライフラワー作り
収穫したラベンダーはイベントに向けてドライフラワーにしました。きれいにドライにする手順とコツを紹介しますね。
①しっかり縛る
葉を取り除いて30本程度を束ね、麻ヒモでしっかりと縛ります。乾燥してくるとヒモが緩むため、きつめに縛るのがポイントです。

乾燥するとゆるくなるため、しっかりと縛る

ヒモを輪にしておくと、干すときに便利

乾燥は2週間ほど
②花を下に向けて真っすぐ干す
ワイヤーネットや物干しなどを利用して、花を下に向けて干します。そうすることで、茎も花も真っ直ぐなドライフラワーになります。直射日光が当たると色が褪せてしまうので、干す場所は風通しのよい日陰がベスト。乾燥後は、空き箱などに並べ、フタをして冷暗所に置くと色も香りもよく保管できます。

ワイヤーネットに吊り下げ用のフックを取り付けて利用すると便利
◆花が終わったら
植物全般にいえることですが、花が咲くとタネができます。タネにエネルギーを使うと株を消耗してしまうため、タネができる前になるべく早めに花を切るのがポイント。葉や枝、根が育ち、株が大きくなりますよ。

株が消耗しないように花は早めに切るのが大切
◆来年のために
ラベンダーは荒地でも育つほど丈夫な植物なため、大量の肥料は必要としません。ただし、雪が降る前には、たい肥と腐葉土を入れ、軽く耕し、土壌を豊かにしておくとよいでしょう。
また、雪が降る頃に30cmほどの長さの支柱を中心部分に立て、周囲をヒモで縛ります。株の形が乱れるのを防ぎ、来年もきれいな形のラベンダーになります。

雪囲いは、初雪が降る頃に作業を行なう
真駒内街路マス花壇で栽培したラベンダーを利用した「ラベンダーのミニブーケづくり」のワークショップを開催します。
詳細は「まこフェス2025」で検索してみてください!


*「まこフェス2025」
日時/2025/9/15(月・祝日)10:00~16:00
会場/まこまる(旧真駒内緑小学校・住所/札幌市南区真駒内幸町2丁目2-2)、真駒内駅前広場、真駒内中学校東側の市道(歩行者天国化を予定)
問合わせ/株式会社KITABA
Eメール/d.takahashi@kitaba.co.jp(高橋 )
備考/駐車場は数に限りがあります。公共交通機関での来場にご協力ください。
プロフィール
藤井 純子
「Pure Potager(ピュア ポタジェ)」代表。ポタジェ・アドバイザーとして道新文化センター札幌校などのセミナー講師のほか、新聞・雑誌にて執筆活動を行なう。また、ポタジェの魅力を一冊にまとめた「Green Finger ポタジェ~小さな庭が与えてくれる恵みと幸せ~」を執筆。「コーチャンフォーミュンヘン大橋店」で取り扱いのほか、HPに掲載のネットショップを利用。またはAmazonでも販売、「ポタジェ」で検索。
HP ピュア・ポタジェ
Instagram pure.potager
YouTube ポタジェ『心と身体を癒す庭へようこそ』 @lifewithpotager401