2025/08/07 15:00
北海道生活

北海道 移住インタビュー|置戸町へ移住し、北海道で木工職人に

北海道の“このまち”に来るまでと、まちに移り住んでからの“暮らし”について、移住定住インタビュー。今回は、木工職人を目指して置戸町に移住し、独立されたつくり手のお話。(本誌「北海道生活」 2024年12月3日発売・冬号 掲載)

【置戸町】オホーツク地方の南西端、十勝との境界にあるまち。農業のほか林業がさかんで、木材で栄えた歴史をあらわす祭り「人間ばん馬」がある。木を使ったものづくりも行なわれている。

木工職人を目指して置戸町へ家族で移住。研修制度を経て独立


嶋谷 裕明(しまたに ひろあき)さん

北海道 移住インタビュー|置戸町へ移住し、北海道で木工職人に

嶋谷 裕明さん。2001年に置戸に移住し、研修制度を利用して技術を磨き「WOOD+(ウッド プラス)として独立。

置戸町の木のうつわ、「オケクラフト」誕生


白樺、エゾマツ、エンジュ、キハダ……木にはさまざまな色や風合いがあり、それぞれに味があります。
ここは置戸町にある「オケクラフトセンター森林工芸館」。カップやお皿など木のうつわが展示販売され、まるで北欧のうつわのような、シンプルでいて洗練されたデザインが多く目を引きます。そして店舗の奥では、作業場でうつわをつくる塾生たちの姿がありました。

林業で栄えてきた木のまち・置戸町では、木を使ったものづくりも行なわれるようになり、1983年(昭和58年)にブランド「オケクラフト」が誕生。地域の人々のほか、町外からの移住も奨励し、置戸町で暮らす置戸町民であれば森林工芸館で職人としての研修を受けることができます。つくり手となったら独立して工房をかまえ、次にやって来る塾生に教えていく。そうして、40年以上「オケクラフト」はつづいてきました。

工房「WOOD+」の嶋谷裕明さんもそのひとりで、置戸町に移住し、研修を終えて独立。「オケクラフト」のうつわをつくっています。

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オンラインショップでは工房・作家名まで表示されていないので、森林工芸館で確かめることができる。

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森林工芸館では「オケクラフト」のうつわを展示販売、奥に研修用の工房がある。

木工職人になりたい、妻と歩む第二の人生


嶋谷さんは大阪出身、小さい時から木工が好きだったそうです。
転勤で千葉へ移住しても、木工を趣味としてつづけていました。

2001年、嶋谷さんは北海道の置戸町に「オケクラフト」があり、研修が受けられる制度があると知りました。
北海道で木工職人となる人生――夢にも思わなかったことに、嶋谷さんの心は大きく揺さぶられます。

しかし家族がいて、長年つとめている会社もある。悩みに悩んで一年が経ったある日、とうとう妻に思いを打ち明けたところ、「やりたければ、やればいいじゃない」と意外な返事が。
子どもはまだ4歳と小さかったのですが、妻に背中を押され、嶋谷さんは移住を決意。親子3人で遥かオホーツクの地へと向かいました。

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置戸町で生まれた子どもには、町から「すくすくギフト」(非売品)が贈呈される。

自然豊かな場所で、ものづくりに生きる


「オケクラフト」の研修制度は、研修にかかる費用は無料ですが、生活費はすべて自分でまかなわなければなりません。オホーツクの山の中にある小さなまちで、生活に不安はなかったのでしょうか。

「それが意外と暮らしやすいです。北見市まで車で1時間くらいなので、週に1回買い物に行けば生活には困りません。それより、自然が豊かで、動物や野鳥が身近にいるのが楽しい。妻も生き物が好きなので、エサ台をつくって小鳥たちが来るのを見るのが楽しみです」と嶋谷さん。

「オケクラフトセンター森林工芸館」での2年間の研修を経て、自宅のそばの空き家を工房用に借りて独立。「作業用の機械は大きな音が出るので、いい場所が見つかってよかったです」。

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木工のろくろを使って木を削り、磨き、ウレタンで塗装する。集中力と忍耐力が必要な手仕事がつづく。

同じものがないから、愛着が増す木のうつわ


工房での仕事は、朝8時から夜7時まで。さまざまな木材を選び、木を削ることから始まります。
「木目はひとつとして同じものがないので、木のうつわづくりは面白いです。思いどおりにいかないこともありますが、それでも待っていただいているお客さんには本当に感謝しています」。

嶋谷さんの主な作品は、取っ手の付いた木のカップ。できあがって納品されたら終わり、ではなく、修理依頼も来るそうです。
「これまで3回直して限界だったものもありましたが、お客さんには愛着のある1個ですし、できるだけ直してあげたいですね」と嶋谷さん。

「オケクラフト」のうつわは森林工芸館やWEBでも販売中、お気に入りのうつわを見つけたら、その先に職人たちのていねいなものづくりを感じてみてください。

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シラカバとエンジュ、エゾマツとウォルナットなど、取っ手との木材のちがいも楽しめる嶋谷さんのカップ。

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森林工芸館の中にある研修用の工房。定員3名で、募集は空き次第行なわれる予定。


【オケクラフト作り手養成塾募集中】

ただいま新しい塾生を募集中。

お問い合わせ・ご応募は

下記「オケクラフトセンター 森林工芸館」まで。

電話 0157-52-3170

メール kougeikan@town.oketo.hokkaido.jp

応募要項については直接お問い合わせください。


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オケクラフトセンター 森林工芸館(しんりんこうげいかん)

住所/常呂郡置戸町字置戸439−4 

TEL/0157-52-3170

アクセス/北見バス「置戸町役場」停より徒歩約3分

営業時間/10:00~18:00(冬期11月~翌年2月は16:00閉館)

定休日/水曜(祝日を除く)、年末年始

駐車場/あり(30台・無料)

カード利用/主なものOK

HP/https://okecraft.or.jp/


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