2025/08/24 15:00
「北海道生活」編集部

絶景の宿|支笏湖の美しい水と、秘湯に守られた老舗の宿。

奥札幌の秘湯 湖畔の宿支笏湖「丸駒温泉旅館」


1915年(大正4年)創業、今年で110年目を迎える老舗の温泉宿。
支笏洞爺国立公園の中にあり、日本有数の透明度を誇る支笏湖の水と自家発電により環境に配慮した一軒宿としても、その歴史をつないできた。

絶景の宿|支笏湖の美しい水と、秘湯に守られた老舗の宿。

「この一帯は住民も水への意識が高く、老舗旅館として地域のインフラを担ってきました。自然豊かな環境と限られたエネルギーを両立させ、丸駒らしい宿として次の世代にも引き継ぎたい」と語る日生下和夫さん。
兵庫県の城崎温泉に生まれ、転勤をきっかけに北海道へ移住、「やはり自分は温泉宿の仕事が好き」と現在は丸駒温泉旅館のリニューアルに尽力している。

絶景の宿|支笏湖の美しい水と、秘湯に守られた老舗の宿。

全国でも約20カ所しかない足元湧出湯の天然露天風呂。岩場で隔てただけの野趣あふれるつくりは創業の大正4年から変わらない。満潮になると温泉の水位と湖が一体となる。

長年ファンに愛されているのが、湖畔を望む天然温泉。
「日本秘湯を守る会」の会員宿でもある丸駒温泉旅館で、大正時代からつづく温泉はこの宿の大切な宝物だ。

大浴場から渡り廊下を降りていく天然露天風呂は、昔から変わらず湖面の水位に合わせて眺めが変わる、ここでしか楽しめない野趣あふれる湯あみ。
源泉の近くにあるため温泉タンクがなく、源泉から引いた温泉は芯からあたたまると評判だ。

絶景の宿|支笏湖の美しい水と、秘湯に守られた老舗の宿。

男性用浴場の「ととのいテラス」は仕切りをはずし、より開放的に。

「これまでのファンに支えられつつ、新しい世代の方にも来ていただけるようにするにはどうしたらいいだろうか」と、日生下さんが考えたのが、サウナと展望露天風呂のリニューアル。
大浴場にあるサウナは本場フィンランド式を採用、低温でロウリュにより発汗をうながし体への負担を少なくしている。
水風呂も目の前の支笏湖の水をかけ流すという贅沢。貸切風呂にもバレルサウナを併設している。

そして開放的な空気の中で外気浴をしてもらおうと、展望露天風呂には「ととのいテラス」を設置し、男性用のテラスは柵をはずしてさらに展望をよくした。
美しいブルーの支笏湖と風不死岳を望むテラスで“ととのう”ひとときは、格別なものになるだろう。

絶景の宿|支笏湖の美しい水と、秘湯に守られた老舗の宿。

「湖畔のSAUNA」は2棟あり、1棟貸し切り料金13,200円~(定員4名)で、朝と昼の2回いずれかから選べる。

さらに2023年11月に誕生したのが、湖畔の2棟の貸切サウナ。
水風呂はライフジャケットを着用して支笏湖へ。
日本最北の不凍湖であるため、冬でも支笏湖の水に入ることも可能。ここでしか味わえないサウナ体験が楽しめる。

絶景の宿|支笏湖の美しい水と、秘湯に守られた老舗の宿。

サウナストーブは北海道初のペレットを使用、環境にも配慮している。

電力を全く使わず、北海道初の「木質ペレットストーブ」をサウナストーブに活用し、環境にやさしいサウナとなっている。

囲炉裏会席を堪能し、美しい朝日で目覚めたい。


また旅館といえば朝夕の2食付きが定番だが、2022年からは朝食付きプランも始めた。
それでも人気が絶えないのが、席数限定の夕食「囲炉裏会席」。
絶景を見て、温泉に入り、料理では旬のチップ(ヒメマス)から湖へと思いを馳せるストーリーが完成する。囲炉裏の炭火で焼きながらの食事は楽しく、会話が盛り上がると評判だ。

「炭を囲む食事はプレゼンテーションとしても好評で、いわゆるバーベキューではなく、会席スタイルとして料理長が手をかけたものを出しています。そうして記憶に残る食事をしていただくのが、この会席の一番の魅力ですね」と日生下さん。

絶景の宿|支笏湖の美しい水と、秘湯に守られた老舗の宿。

食事処「唐花草」と「薄雪草」で提供される囲炉裏会席は19卓限定。支笏湖名産のチップ(ヒメマス)をはじめ地元の味覚が盛りだくさんの内容。ほかに個室も用意している。

会席の献立はその時期によって変わるが、たとえば宿主が自ら採ってきた行者ニンニクの醤油漬けなどの前菜から始まり、支笏湖チップの刺身、囲炉裏焼き、蒸し物、珍味など、支笏湖の水を使った十数品の料理が提供される。

合わせる酒にも、支笏湖の水を使い小樽「田中酒造」で醸造したオリジナルの日本酒や、同じく支笏湖の水でつくったクラフトビール、地元の「千歳ワイナリー」のワインなどペアリングも充実している。

絶景の宿|支笏湖の美しい水と、秘湯に守られた老舗の宿。

湖水側の客室。改装により以前の和布団からローベッドスタイルに変更。客室は山側タイプもあり湖水とはまた違った美景を楽しめる。

客室は2022年から順次改装、その大半を布団からマットレスに変更した。
一部の和室は残し、ビジネスプランなど多様なニーズに対応している。
窓からは支笏湖の眺めを満喫できるほか、早朝には美しい朝日が見られ、特に冬には正面から朝日がのぼる、泊まった人にしか味わえない絶景だ。

秋には紅葉と支笏湖のコントラストがさらに美しくなる季節。絶景と美味しい食事を求めて、この秋にも訪れてみよう。

絶景の宿|支笏湖の美しい水と、秘湯に守られた老舗の宿。


奥札幌の秘湯

湖畔の宿支笏湖

丸駒温泉旅館

住所/千歳市幌美内7

TEL/0123-25-2341

交通/新千歳空港より車で約50分


※この記事は北海道生活2024年秋号の記事を一部再編集しています。





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