2023/11/20 11:30
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ポタジェ|秋の味覚レシピ「栗しごと」~栗の甘露煮・渋皮煮

今回は、秋の楽しみの一つ「栗しごと」をお伝えします。「栗しごと」とは、秋に旬を迎える栗を使って甘露煮や渋皮煮などをつくる作業のこと。
このコーナーでは、季節ごとの野菜やハーブ、果樹、お花など、相性のよいコンパニオンプランツを組み合わせながら育てて楽しむ“ポタジェのある暮らし”を紹介していきます。お料理や花のクラフトも。


文・写真:藤井 純子さん(ピュア・ポタジェ代表)


ポタジェ|秋の味覚レシピ「栗しごと」~栗の甘露煮・渋皮煮

購入する際は、ツヤとハリがある栗を選ぼう

ポタジェでは、例年以上に大きく育ってくれたトマトやキュウリ、インゲンなどの夏野菜の片づけも進み、サツマイモやカボチャなど“秋の味覚”が楽しみな季節になりました。
そこで今回は、秋の楽しみの一つ「栗しごと」をお伝えします。栗しごと とは、秋に旬を迎える栗を使って甘露煮や渋皮煮などをつくる作業のこと。毎年 栗の季節には、栗ご飯や甘露煮などをつくっていましたが、数年前に知人から庭で育った大きな栗をいただくようになったのがきっかけで、ポタジェにも栗を植えるほど、栗しごとの楽しさにはまっています。特に渋皮煮は、渋皮に傷がつかないようにと無心になる時間やコトコトと煮込む時間は、心を静めてくれる癒しのひとときのように感じています。


■「栗」について―

ブナ科の栗は、縄文遺跡からも出土されるなど貴重な食料として栽培されていた長い歴史があります。また、ブナ、ケヤキ、クヌギなどの落葉広葉樹の落ち葉は、土壌改良に欠かせない腐葉土づくりに活用できるため、庭で栗を栽培して自家製腐葉土をつくることもできます。
栗の代表的な品種は、大粒で甘みのある「丹沢(たんざわ)」「筑波(つくば)」「銀寄(ぎんよせ)」などが有名。そのほかにも渋皮が剥きやすい「ぽろたん」という新しい品種もあります。
購入した際にはそのまま常温で保存すると、糖度が下がるだけでなく、カビが生えてしまうことがあるため、次に紹介する“ひと手間”をかけてから保存すると安心なうえ、でんぷん質が糖化して甘みが増すので一石二鳥です。

ポタジェ|秋の味覚レシピ「栗しごと」~栗の甘露煮・渋皮煮

知り合いの山での栗拾いも楽しいひととき

甘さがアップするひと手間



栗をきれいに洗い、1時間~半日ほど水につけます。表面に浮いてくる栗は、虫食いの可能性があるため取り除いておきましょう。水につけた栗をザルにあげて水分を拭き取り、乾かします。

ポタジェ|秋の味覚レシピ「栗しごと」~栗の甘露煮・渋皮煮

水を入れ替えながらきれいに洗う


キッチンペーパーや新聞紙などで栗を包み、ビニール袋に入れて冷蔵庫のチルド室に入れます。このとき、ビニール袋の口はきっちりと締めず少しあけておきます。最初の数日は水分が出てきますので、カビ予防のためにキッチンペーパーや新聞紙を取り替え、ビニール袋についた水分は拭き取るようにしましょう。

ポタジェ|秋の味覚レシピ「栗しごと」~栗の甘露煮・渋皮煮

キッチンペーパーなどに包み、ビニール袋に入れて冷蔵庫へ


3週間ほど冷蔵庫(チルド室)で保存すると、栗の甘みが増すといわれています。甘みは3日で2倍、3週間で4倍になるとのことですが、1カ月以上保存すると逆に糖度が下がってしまうそうなので、長期保存する場合は皮ごと冷凍するのがおすすめです。

栗しごと~甘露煮&渋皮煮のレシピ


01|栗の甘露煮づくり

毎年の定番になっている「甘露煮」づくり。おせち料理の栗きんとんや栗ご飯、お菓子づくりなどにも活躍してくれます。

ポタジェ|秋の味覚レシピ「栗しごと」~栗の甘露煮・渋皮煮

甘露煮を使った栗ご飯

[ 材料 ]

・栗(鬼皮付き) 500g
・水 350ml
・砂糖 140~200g
・クチナシの実 1個(※)
※クチナシの実を入れると鮮やかな黄色に仕上がりますが、入れなくてもOKです。

[ つくり方 ]

【1】
甘露煮や栗ご飯にする場合は、外側の鬼皮と渋皮をむきます。むきやすくするために、下の写真のようにあらかじめ包丁で切込みを入れておくとよいです。

ポタジェ|秋の味覚レシピ「栗しごと」~栗の甘露煮・渋皮煮

青いラインの箇所に切り込みを入れておくと、皮をむきやすくなる

【2】
鍋やフライパンに栗を入れ、栗が浸かる程度の水を加えます。沸騰してから2分ほど栗を熱しましょう。軍手などをはめ、熱いうちに包丁やフォークを使って皮をむき、15分ほど塩水に浸けてアクを抜きます。

ポタジェ|秋の味覚レシピ「栗しごと」~栗の甘露煮・渋皮煮

熱を加えると、先ほど入れた切り込み部分が開き、皮がはがれやすくなる

ポタジェ|秋の味覚レシピ「栗しごと」~栗の甘露煮・渋皮煮

渋皮もきれいにむける。皮をむたいら塩水に浸けてアク抜きする

【3】
下茹でをします。鍋に皮をむいた栗と水をひたひたに入れ、半分に割ったクチナシも入れて沸騰させます。沸騰したら弱火にして10~20分茹でます。そのまま冷まし、クシナシの実を取り除いて栗をザルにあげます。

【4】
鍋に下茹でした栗、水(350ml)と砂糖(140~200g)を入れ、キッチンペーパーなどで落し蓋(フタ)をし、沸騰したら弱火にして15~20分煮ます。栗を煮たあと、そのまま半日~1日置いておくと、味が染み込んでおいしい甘露煮に仕上がります。

【保存】
煮汁と一緒に保存容器に入れて、冷蔵庫で10日ほど。煮沸消毒した瓶で煮汁に完全に浸かった状態で脱気した場合は、冷蔵庫で3~4カ月保存が可能です。冷凍もできますよ。


02|栗の渋皮煮づくり

栗の渋皮煮は、パウンドケーキに入れたり、ペーストにすればモンブランなどのお菓子づくりにも利用できます。贈り物にも喜ばれますよ!

ポタジェ|秋の味覚レシピ「栗しごと」~栗の甘露煮・渋皮煮

栗の渋皮煮。お菓子づくりに大活躍

[ 材料 ]

・栗(鬼皮付き) 500g
・砂糖 500g
・重曹 小さじ1.5

[ つくり方 ]

【1】
渋皮(中の皮)に傷がつかないように気をけながら、鬼皮をむいていきます。栗の底(ザラザラした部分)からむくと、むきやすいですよ。鬼皮をむいたら水を入れたボウルに栗を入れ、汚れを取り除きましょう。

ポタジェ|秋の味覚レシピ「栗しごと」~栗の甘露煮・渋皮煮

ゆっくり慎重に鬼皮をむく

【2】
栗のアク抜きを行なっていきます。鍋に洗った栗と水をひたひたに入れ、重曹を小さじ1/2 加えて火にかけます。沸騰したら弱火にして約10分茹でます。

ポタジェ|秋の味覚レシピ「栗しごと」~栗の甘露煮・渋皮煮

アクが出て煮汁がごげ茶色に

【3】
鍋をシンクに置き、鍋の縁(ふち)の方から流水を加えて水を替えます。このとき流水が栗に当たると渋皮が破れるので気をつけましょう。渋皮についている筋などは、竹串などを使って優しく取り除きます。

ポタジェ|秋の味覚レシピ「栗しごと」~栗の甘露煮・渋皮煮

優しくゆっくりと取り除く

【4】
合計で3回、【2】と【3】の作業を繰り返してアク抜きしましょう。 少し手間に感じますが、このアク抜きの作業をすることでおいしい渋皮煮に仕上がりますよ。

ポタジェ|秋の味覚レシピ「栗しごと」~栗の甘露煮・渋皮煮

徐々にアクが抜けてくる

【5】
今度は重曹を抜くために、鍋に栗と水をひたひたに入れて火にかけます。沸騰したら弱火にして5分ほど茹でます。

ポタジェ|秋の味覚レシピ「栗しごと」~栗の甘露煮・渋皮煮

重曹を抜き、アクも抜けて渋皮の色が薄くなる

【6】
続いて、甘みをつけながら煮込みます。鍋に栗とひたひたの水、用意した砂糖の半量を加え、落し蓋をして火にかけましょう。沸騰したら弱火にして15分煮込み、残りの砂糖を加えてさらに10分煮ます。お好みでブランデーやラム酒を入れると風味がよくなります。完成後は煮汁につけたまま一晩おくと、味がなじんでおいしくなりますよ。

ポタジェ|秋の味覚レシピ「栗しごと」~栗の甘露煮・渋皮煮

ツヤツヤの渋皮煮の完成!

【保存】
渋皮煮も、甘露煮と同様に保存します。煮汁と一緒に保存容器に入れて冷蔵庫で10日ほど。煮沸消毒した瓶に煮汁に浸かった状態で脱気した場合は、冷蔵庫で3~4カ月保存が可能です。冷凍もできます。

ポタジェ|秋の味覚レシピ「栗しごと」~栗の甘露煮・渋皮煮

煮沸消毒した瓶に詰めた渋皮煮

ポタジェ|秋の味覚レシピ「栗しごと」~栗の甘露煮・渋皮煮

渋皮煮をパウンドケーキに入れて、旬の味わいも楽しむ。お菓子づくりにもぜひ活用を!

秋の夜長、丁寧(ていねい)に時間をかける「栗しごと」。そんなゆったりとした時間を持つものもよいものですね。

プロフィール


藤井 純子
「Pure Potager(ピュア ポタジェ)」代表。ポタジェ・アドバイザーとして道新文化センター札幌校などのセミナー講師のほか、新聞・雑誌にて執筆活動を行なう。また、ポタジェの魅力を一冊にまとめた「Green Finger ポタジェ~小さな庭が与えてくれる恵みと幸せ~」を執筆。「コーチャンフォーミュンヘン大橋店」で取り扱いのほか、HPに掲載のネットショップを利用。またはAmazonでも販売、「ポタジェ」で検索。

HP : ピュア・ポタジェ  

Instagram:pure.potager

YouTube:ポタジェ『心と身体を癒す庭へようこそ』 @lifewithpotager401


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