足寄町(あしょろちょう)北海道移住移住インタビューくらし
2023/12/18 11:30
北海道生活

北海道 移住インタビュー|足寄町でゲストハウスを。狩猟免許も取得

(本誌「北海道生活」 2023年3月3日発売・春号 掲載)

北海道の“このまち”に来るまでと、まちに移り住んでからの“暮らし”について、移住定住インタビュー。今回は、移住と仕事の夢をかなえた夫妻のお話。足寄町(あしょろちょう)でゲストハウスをオープンし、狩猟ハンターになる夢も実現。

【足寄町】十勝地方の東北部にある、日本一面積の広いまち。阿寒摩周国立公園と大雪山国立公園に囲まれた豊かな自然があり、農林業や放牧酪農が盛ん。帯広空港より車で約90分、または釧路空港より車で約70分。

vol.3 GuestHouse(ゲストハウス) ぎまんち  


儀間 雅真(ぎま まさなお)さん・芙沙子(ふさこ)さん

北海道 移住インタビュー|足寄町でゲストハウスを。狩猟免許も取得

「GuestHouse(ゲストハウス) ぎまんち」オーナーの儀間 雅真さん・芙沙子さん

ハンターになりたい――。自然豊かな足寄町へ


日本一広い面積の町といわれる足寄町(あしょろちょう)。二つの国立公園に囲まれた豊かな自然が広がるこのまちに、儀間雅真さん・芙沙子さんが横浜から移住したのは2017年のこと。狩猟に興味を持ち、ハンターになりたいと地方への移住を考えるようになった雅真さんに、北海道北見市の出身である芙沙子さんが「実家に近いところがいい」と、東京で行なわれていた移住イベントで見つけたのが足寄町でした。

「十勝晴れ」と呼ばれるほど晴天の日が多く、雪が比較的少ないというところも決め手になったという儀間さん夫妻。まずは足寄町で2泊3日の移住体験をしてみました。朝から夕方まで酪農を手伝い、夜は地元の人たちとお酒を飲みながら交流を深め、わずかな期間でも足寄がすっかり気に入ったといいます。やがて芙沙子さんは移住サポートセンターの職員として就職することができ、雅真さんも地域おこし協力隊制度を利用し、足寄町へ移住する足がかりができました。

理想の空き家に出会い、ゲストハウスをオープン


地域おこし協力隊は3年間の任務、芙沙子さんもサポートセンターの職員には期限がありました。そこで、町内にいくつか残っていた空き家に注目、折しも2018年に民泊新法が施行されたことで、「ゲストハウスなら二人でできるかもしれない」と物件を探すように。なるべく改装の費用がかからないような家を探すうち、足寄神社の目の前に、徳島の宮大工が建てたという丈夫な日本家屋に出会います。その持ち主のご厚意や地域の人々との協力を経て、自分たちの手で改装を行ない、2018年7月にはゲストハウス「ぎまんち」をオープンしました。

ゲストハウスの客室は2室。欄間など宮大工ならではの凝った細工を見ることができる和室と、大きなベッドを備えた洋室のいずれかに泊まることができます。食事の提供はありませんが、代わりに近所の美味しいお店も紹介してもらえます。台所や大きなストーブもあるので、近くで食材を調達すれば自炊して生活することも可能です。同じ家で生活する儀間さんたちと一緒に調理するのも楽しいかもしれません。

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ベッドがある洋室は、4名まで利用可能。ガンロッカーもあり、ハンターの宿泊にも対応している

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書院造の和室は、宮大工の建てた家だけあって趣きがある。外国人にも人気で、4名まで利用可能

足寄という場所柄、道東観光の拠点としても利用できますが、余裕があれば数日を足寄で過ごしてみるのもおすすめです。五色沼と呼ばれるオンネトー、秘境の滝など二つの国立公園に恵まれた場所だからこそ楽しめる足寄のまち。四季折々の自然に触れたり、夏には巨大なラワンぶきを見たり、酪農地帯では広がる牧場を眺めたり、北海道のスケール感に圧倒されることでしょう。

このゲストハウスでは、雅真さんとともに山に入り、狩猟の様子を見たいという人のためのプランがあります。念願の狩猟免許を取得した雅真さんは、狩猟の心得や解体までをしっかり見せることにしています。ハンティングは「命をいただくということ」、そして「確かな仕留め方が美味しい肉になるということ」をゲストに実感していただけるよう、自ら仕留めたエゾシカの解体を見せ、リクエストによってはエゾシカ肉の発送なども可能です。

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念願の狩猟免許を取得し、自らエゾシカを仕留める

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深い積雪の上を歩くための かんじき(スノーシュー)、ラケット型のもの

仕事と移住の夢をかなえ、いま伝えたいこと


「足寄に来てよかった」と口を揃える儀間さん夫妻。「自然豊かな田舎はどこにでもありますが、ここは特に、人が面白いんです。周りに移住者も多いし、暮らしていると仕事よりもまず人が大事だなと思いますね」と雅真さん。「横浜の暮らしから比べると収入は下がります。でも支出も減るんです。何かとお金を使わされる都会と違って、田舎では物欲がなくなってしまう。特に食材は、買うよりも先にもらうことが多く、むしろもらいすぎですね」と笑う芙沙子さん。

横浜にいる頃には、エゾシカ肉を料理することなど考えられなかったという芙沙子さんですが、「エゾシカを美味しく食べさせたい」とエゾシカの料理もつくるように。雅真さんは「やせいのおにくや」というブランドを立ち上げ、食肉処理加工施設を設立。芙沙子さんとともにエゾシカのソーセージや餃子をつくるようになりました。特にエゾシカのグリーンカレーはとても美味しいと評判になり、缶詰として発売。今では道の駅や、町外にも販路を広げています。

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缶詰「エゾシカ肉のゴロゴロ入ったグリーンカレー」。内容量190gのうちエゾシカ肉が60g以上入っており満足度が高い

ハンターになりたいという夢を足寄町でかなえた雅真さん。狩猟の仕事は孤独な闘いのようにも見えますが、山間での暮らしは孤独とは違うようです。「山で悠々と自給自足していると誤解されることもありますが、その逆です。今の生活の方が、人間関係はとても濃密です。何より人との信頼関係が一番なんです」。宿泊するゲストには移住相談にも応じているという儀間さんご夫妻。田舎暮らしを実現した雅真さんと、移住サポートの仕事をしていた芙沙子さんですから、移住の実情を具体的に聞けるのは貴重な体験になることでしょう。

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儀間雅真さんは自ら仕留めたエゾシカを野生肉販売店「やせいのおにくや」で販売。北海道HACCP認証も受け、安心安全な肉を届ける

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北見市端野出身の儀間芙沙子さん。さまざまなイベントを仕掛け、地域交流を活性化している

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