2024/03/12 11:30
niwacul
北海道の庭|今週の花(3月11日) 演出に万能なアルケミラ・モリス
エルミタージュ=隠れ家的な 走川さんご夫婦のお庭から、今が旬の「今週の花」をお庭の様子とともに月2回 紹介していきます。冬の間はシーズンの庭や植栽のこと、日々のできごとをお伝え。~今回は、庭の万能選手!アルケミラ・モリスをご紹介。
撮影:走川 正裕 ・ 貴美 文:走川 貴美
![北海道の庭|今週の花 演出に万能なアルケミラ・モリス](https://sumahononakani.com/tjn/upload/img_reports/detail/835cb23e0de267bd34d7f529c15e57ef3a9389f589cfbc807e200ec0f177b0cc65ee6ae818e26.jpg)
アルケミラ・モリスは、バラ科ハゴロモグサ属(アルケミラ属)の耐寒性多年草(宿根草)です。越冬可能な寒さに強い性質なので、北海道の宿根草ガーデンには欠かせない花の一つ。草丈は30〜50cm、株幅は50〜80cmほどになります。開花期は夏の間で、刈り込むとまた成長して花が咲きます。小さな黄色い花がふんわりと広がって咲く様子は、ナチュラル感があり魅力的です。毎春、新芽を出して生育を始め、何年も生き続ける息の長い植物です。こぼれダネでも簡単に増えるので、株をちょっと掘り上げて必要と思われる場所に移植して増やしています。
英名の「レディースマントル」は、葉の形からイメージして「聖母マリアのマント」という意味があり、「西洋羽衣草(セイヨウハゴロモソウ)」という和名もつけられています。ハーブの一種で乾燥させてお茶にしたりします。
![北海道の庭|今週の花 演出に万能なアルケミラ・モリス](https://sumahononakani.com/tjn/upload/img_reports/detail/6d495c5511f03420626e927353e29f3258075953c96df7862245940e30889c4c65ee6ae81c7d3.jpg)
ふんわりと広がるような細かな黄色い花と、フォルムの美しい葉。ナチュラルな雰囲気があり、宿根草ガーデンでは人気の一つ。アゲハチョウが揺れる花の上でひと休み
本当に使い勝手がよく、我が家の庭では多用しています。一番は、株間を埋める少し大きめのグランドカバー(下草)です。花色のきれいな宿根草の間に、やわらかなクッションのように配置しています。どのような形の花や色の花にも調和して、優しい雰囲気にしてくれます。
![北海道の庭|今週の花 演出に万能なアルケミラ・モリス](https://sumahononakani.com/tjn/upload/img_reports/detail/99db0d6c808cc16309947f0de2e6f41ef1304cf9c06aea1ba86ef8fec449365165ee6ae8215e6.jpg)
花と花の隙間を埋めるようにしてアルケミラ・モリスの黄色い花が広がる。背の高い宿根草やグラス類の引き立て役にもよい
花壇の縁取りにもよく使います。1999年5月、イングリッシュ ガーデニングスクールに通っていた頃、授業の一環でロンドンにあるローズマリー校長先生の家に伺ったのですが、入り口から続く小道の両脇にムスカリが咲いていて、その間にアルケミラ・モリスが植えられていました。
そのときの説明で、「ムスカリの花が終わると葉が伸びて草姿が乱れてくるため、その頃に大きくなって覆い隠してくれるアルケミラ・モリスを植えています」と話していました。それで我が家も同じように植栽しています。また、チューリップやスイセンなど春咲きの球根類と一緒に植えておくのも、同じ理由で花後の管理に役立ってくれますよ。
![北海道の庭|今週の花 演出に万能なアルケミラ・モリス](https://sumahononakani.com/tjn/upload/img_reports/detail/21f0604961a439454e1dc71f075008cb57f5b67c34556ae474219c1ec60a2c8765ee6ae824e40.jpg)
青花がきれいなシラーとの組み合わせ。春咲きのムスカリやシラー、チューリップやスイセンなどの球根花が終わりに近づくと、アルケミラ・モリスが茂ってくる
![北海道の庭|今週の花 演出に万能なアルケミラ・モリス](https://sumahononakani.com/tjn/upload/img_reports/detail/5015850a906ead917a8f055eeac8c30d78c6cccd52b4c5b82a7097d21109ec7c65ee6ae82ae21.jpg)
花壇の縁取りや小道の脇にふんわりと咲かせる
![北海道の庭|今週の花 演出に万能なアルケミラ・モリス](https://sumahononakani.com/tjn/upload/img_reports/detail/b9c227a7009b2b5062366b8820df7582b24c04454de14f318067cf4444b39a3a65ee6ae82f5f4.jpg)
![北海道の庭|今週の花 演出に万能なアルケミラ・モリス](https://sumahononakani.com/tjn/upload/img_reports/detail/fde413b3293d5e326f6237944105471b9bf7b0c87bda234b0b1724e79e547db765ee6ae83533e.jpg)
ほかの花色や葉色など、対照的な色合わせでアクセントにすることも
![北海道の庭|今週の花 演出に万能なアルケミラ・モリス](https://sumahononakani.com/tjn/upload/img_reports/detail/c24fc73463250bfa269f818dfdf1a9d60af1a8de7bf2a9260e6f84ef5741d82e65ee6ae838854.jpg)
フェンスの足元など狭い場所の演出にも役立つ。素敵なテラスの空間に
切り花にしても花もちがよく、フラワーアレンジに動きを加えたり、クッション(土台ような花材)にもなってくれます。庭の花でアレンジをつくるときは、庭を回りながら最初にアルケミラ・モリスを摘みます。そこにさまざまな形や色の花を合わせようにして、次の花、次の花と摘んでいきます。そうすると、イメージに合わせて簡単にアレンジの花材を集められて、花束をつくることができますね。
また、アルケミラ・モリスはドライフラワーにもなりますから、ほかのドライのものと合わせてクラフトに活用できるのも嬉しいところ。本当に便利な植物です。
![北海道の庭|今週の花 演出に万能なアルケミラ・モリス](https://sumahononakani.com/tjn/upload/img_reports/detail/3a0c556694a2659945a0ab5f68db14f7aab216e63a1cb28f1488fac87c06ac8e65ee6ae83ac34.jpg)
左/青花と黄色い小花の組み合わせに。アルケミラ・モリスが動きを加える 右/アレンジの根元にクッションのようして、やわらかな彩りをプラス