2024/07/10 13:30
北海道生活

薄紫の亜麻色の風景と、亜麻栽培を北海道ならではの産業に ~当別町 亜麻公社

取材協力:亜麻公社 代表取締役 橋本俊彦さん


一面に広がる薄紫の花――。それは、北海道の石狩エリア、当別町(とうべつちょう)の夏のはじまりを彩る、美しい亜麻畑です。
薄紫色の亜麻(アマ)の小さな花の見ごろは、2週間程度。そして花は朝日とともに開き、昼には散ってしまうという儚さがあり、最も美しく咲く早朝の亜麻畑は貴重な風景です。

薄紫の亜麻色の風景と、亜麻栽培を北海道の産業に ~当別町 亜麻公社

当別町の亜麻畑

薄紫の亜麻色の風景と、亜麻栽培を北海道の産業に ~当別町 亜麻公社

亜麻の薄紫色の小さな花。朝日とともに開き、昼には散ってしまう

この美しい風景の裏には、有限会社 亜麻公社による地道な努力があります。亜麻公社は、約40年ぶりに北海道での亜麻栽培を復活させ、当別町と地元農家とともに、北海道ならではの産業に育てたいと取り組んでいます。

亜麻公社(代表取締役)の橋本俊彦さんが、北海道での亜麻栽培について話してくれました。
北海道では、明治初期から昭和にかけて繊維用の亜麻栽培が盛んに行なわれていたそうです。しかし化学繊維の発展とともに亜麻紡績が衰退し、亜麻栽培も終了します。
そして時代は流れ、2001年。当時の亜麻公社の前身である北海道技術コンサルタントの社長が、新規事業としてあらためて亜麻栽培に着目。「かつて北海道で栄えた亜麻を、再び北海道ならではの産業として育て、地域活性化につなげたい」と考えたのです。

薄紫の亜麻色の風景と、亜麻栽培を北海道の産業に ~当別町 亜麻公社

亜麻公社 代表取締役 橋本俊彦さん

同社にとっても、初めての取り組みとなる亜麻の栽培は、すべてが手探り状態からのスタートだったそうです。
現代も亜麻栽培が盛んであるヨーロッパなどから亜麻の情報や栽培方法、タネを仕入れ、地元農家の協力も得ながら試行錯誤を繰り返し、農薬不使用による栽培方法を確立しました。
亜麻は連作ができないため、毎年、畑の場所を変え、ほかの作物とローテーションを組みながら栽培を進めています。現在、畑は3カ所程度あり、農家さんが毎日手作業で丁寧(ていねい)に草取りをしています。

薄紫の亜麻色の風景と、亜麻栽培を北海道の産業に ~当別町 亜麻公社 薄紫の亜麻色の風景と、亜麻栽培を北海道の産業に ~当別町 亜麻公社

畝(うね)の間だけでなく、株の間に生えてくる雑草も丁寧に取り去る作業は欠かせない。収穫量にも差がでるのだとか

「亜麻は、播種から60日ほどで花が満開となり、そこからさらに60日ほどで実(タネ)を収穫できます」と橋本さん。花が終わると小さな緑の実を付け、この実から「亜麻仁油」が抽出されるのです。
現在、亜麻公社では毎年3~5ha(ヘクタール)ほどの亜麻を収穫しています。収穫した亜麻の実から亜麻仁油を抽出するほか、焙煎亜麻の実、サプリメント、石けんなどに加工し、主に自社ECショップ(インターネットショップ)などを中心に販売を行なっています。美しい黄金色の亜麻仁油には、現代人に不足しがちなオメガ3系脂肪酸のα-リノレン酸を豊富に含んでいるそうで、健康志向の高まりとともに注目を集めています。

薄紫の亜麻色の風景と、亜麻栽培を北海道の産業に ~当別町 亜麻公社

北海道産(当別町産)の亜麻仁油。ふるさと納税の返礼品にもなっている

薄紫の亜麻色の風景と、亜麻栽培を北海道の産業に ~当別町 亜麻公社 薄紫の亜麻色の風景と、亜麻栽培を北海道の産業に ~当別町 亜麻公社

亜麻仁油石けんは、ビターシトラスの香り。うるおいを残したままやさしく洗い上げる

「今後も、時代に合った亜麻の活用方法を模索し、亜麻にこだわった新たな用途開発や商品開発を行なっていきたい」と話す橋本さん。亜麻畑の美しさと、そこから生まれる健康的な商品。そして何より、地域の歴史と未来をつなぐ亜麻公社の挑戦。「当別町の亜麻畑が、北海道の新しい魅力の一つになれば」と。

7月上旬、夏に向かう頃になると、毎年「 北海道亜麻まつりin当別」が開催され、薄紫色の亜麻の花畑をひと目見ようと多くの人たちが当別町を訪れます。亜麻畑の見学会や、亜麻の展示、亜麻商品の販売、亜麻繊維(リネン)採取体験・糸紡ぎ実演など、さまざまな催しが行なわれます。※今年(2024年度)のイベント開催は終了しました。

薄紫の亜麻色の風景と、亜麻栽培を北海道の産業に ~当別町 亜麻公社

亜麻畑見学会の様子。「北海道亜麻まつりin当別」のイベント開催時に見学できる(写真:亜麻公社)

当別町の亜麻畑は、自然の美しさと人々の努力が織りなす、新しい北海道の風景をつくり出しています。亜麻の魅力を、いつか亜麻畑に出かけて感じたり、収穫した亜麻から生まれる良質な商品を手に取り、体感してみてはいかがでしょうか。

また、今年は7月31日(水)まで「亜麻カフェ2024」を開催中です。当別町内や札幌市内の参加店で、亜麻仁油や亜麻の実(ローストアマニ)を使った期間限定メニューが提供されています。亜麻カフェで、亜麻の味わいを楽しんでみませんか。(※メニューや提供期間は店舗により異なります。詳しくは以下より)

薄紫の亜麻色の風景と、亜麻栽培を北海道の産業に ~当別町 亜麻公社

亜麻公社


TEL/販売窓口 0800-900-4149(公式通販 亜麻の里)

受付時間/9:00~18:00(日曜・祝日・年末年始を除く)

公式HP/https://amakousya.co.jp/

公式ECショップ/https://amakousya.co.jp/products/



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