2025/08/15 09:00
「北海道生活」編集長
北海道最古の祭り「姥神大神宮渡御祭」へ行ってきました!
蝦夷地から北海道と名付けられて、150年あまり……それをはるかにしのぐ、380年近くつづく神事「姥神大神宮渡御祭」へ行ってきました。
道南・江差町で今もつづく北海道最古の祭りと言われていて、それは江差のまちが栄えていた北前船の時代からつづいています。
私は「北海道生活」の取材で10年以上前に行き、ドはまりしてしまい、ほぼ毎年行くようになってしまいました。

ここでは「姥神(うばがみ)祭り」と略させていただきますが、姥神祭りは毎年8月9日~11日まで行なわれます。
イベントではなく神事のため日にちが決まっており、平日だと悲しむ江差っ子も多かったのですが、8月11日が「山の日」という祝日になって大喜び!
実は、姥神祭りでは山車のことを「ヤマ」と呼ぶのです。
今年は特に、土曜・日曜・祝日と三日間ともお休みで、たくさんの人でにぎわいました。

江差町内のエリア別に、13の山車(ヤマ)があり、9日は各山車が自分たちの町内を練り歩き、10日はすべての山車が下町巡行、11日は上町巡行というふうに練り歩きます。
私は9日の夕方に到着したので、10日の下町巡行から本格的に参加。
まだ暑い夏の朝、姥神大神宮に13台の山車が集結します。

函館市からは市長の大泉潤さんが駆けつけました。
前にインタビューしたのでご挨拶したところ、「なんでいるの!」と驚かれ、「実は取材したらハマっちゃって毎年来てるんです」というと「関係人口だね!」と市長らしい一言をいただきました。
大泉市長も実際に山車をひいたり、お祭りを体験されたりしたそうですよ。

下町巡行は姥神大神宮から「いにしえ街道」を通って行きます。
この「いにしえ街道」は電線が地中化されています。景観もいいだけでなく、山車が巡行する際に電線にひっかからないようにスムーズに動くこともできます。

このお祭りにハマったのは、老若男女関係なく、山車をひかせてくれるところ。
歴史ある祭りでも、伝統を大事にしつつ、みんなで楽しもうとおおらかに迎えてくれるところに感動しました。
半纏は祭りに行くたびに借りていたのですが、10年経った記念に、私もようやく自分の半纏を買いました。

姥神祭りは、江差の人は何があっても帰ってくるという「だんじり祭り」のようなところもあれば、お遍路様の「ご接待」のように各家でおもてなしされるところもあります。
下町で必ず行くお宅では、まず「くじら汁」に感動。
もちろんオードブルに和食などテーブルの上はごちそうでいっぱいなのですが、やはり江差に来ないと食べられないものに惹かれます。

とあるお宅では、手づくりの「いかめし」をいただきました。
本当に道南ではソウルフードとして作られているんだなあと、やわらかく炊いたいかめしを食べていると、「飲んで飲んで」と生ビールを注がれて、数軒回るとおなかいっぱいです。
ビール飲んで、食べて、山車をひいて、ビール飲んで、食べて、山車をひいて……おいしくてうれしい、とともに、かなり体力を使います。

夕方に休憩をはさみ、ふたたび姥神大神宮で13台の山車が集まります。
そうしてにぎやかに、10日の下町巡行は夜通し行なわれたのでした。
おそらく夜11時になっても終わらず、宿について就寝したのは夜中2時くらいでした。

11日は上町巡行、いったん姥神大神宮へと13台の山車が集まります。
前日の疲れと筋肉痛ですでに体はヤバイのですが、遠くに見える開陽丸やかもめ島を見ると、やっぱり江差はいいなあ!と気分が上がります。

上町巡行は海側を主に練り歩くので、漁師町らしい料理をいただくことが多いです。
くじらベーコンに、お刺身、ウニ、海鮮が豊富です。

「ぼたもち」もありました。どの家にも、その家庭の自慢料理があって、江差の人とまわっていると「ここのこれがうまいんだよな~」と教えてもらえるのもうれしいです。
姥神祭りに参加したころは、ごちそうに目がくらんでがっついてしまいましたが、今は無理に食べず飲まず、夜まで体力温存を守るようにしています。

江差警察署に突入!(笑)ではなく、山車の停まるところはそれぞれ前もって決められていて、中に入る家も決まっています。

この日も暑かったので、いったん夕方に休憩して、夜に祭りはクライマックスへ。
坂の上にある新地町の見せ場へと13台が集まっていきます。

ここで13台の山車が集結!夜中までお囃子の音は鳴りやまず、子どもや若者は騒ぎ、大人たちは酒を飲みにぎやかに夜は更けていきます。
初参加で10年以上経ち、ますます体力の衰えは感じますが、もう親戚のように全国から集まる山車の仲間に挨拶して「また来年ね!」と手を振ると、「来年も祭りに行こう」と気持ちをあらたにしてしまうのでした。
(「北海道生活」編集長)