2024/07/18 15:00
北海道生活

ポタジェ|夏野菜の収穫前の楽しみは、バラと宿根草の彩り

宿根草の花たちが咲き始めました。今回は、夏のはじまりを迎えたポタジェの様子をご紹介。
このコーナーでは、季節ごとの野菜やハーブ、花や果樹など、相性のよいコンパニオンプランツを組み合わせながら育てて楽しむ“ポタジェのある暮らし”を紹介していきます。お料理や花のクラフトも。

文・写真:藤井 純子さん(ピュア・ポタジェ代表)



北海道もようやく気温が上昇し、ポタジェの宿根草の花たちが一斉に咲き出し、華やかな季節がやってきました。今回は、宿根草の花を中心に、夏のはじまりを迎えたポタジェの様子をご紹介したいと思います。

ポタジェ|夏野菜の収穫前の楽しみは、バラと宿根草の彩り

昨年定植した多年草のサルビア スペルバ。札幌では6月中旬から花が咲く

毎年、春先に出没する野ネズミに枝の表皮をかじられてしまい、なかなかお大きくなれずにいたノイバラ。今年は以前にご紹介した、あぜ波板シートと金網で冬囲いしたことが功を奏し、無事に越冬してくれました。

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ネズミの被害から守るために、冬前に「あぜ波板シート」で保護した際の様子。地面にシートを少し埋めるように設置

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同様に「亀甲金網」で保護。写真はアナベルの株元を覆った様子。つるバラの枝を束ねて横に寝かせて冬囲いをする際も、隙間なく全体を覆うことができる

ノイバラは昔から日本各地の野山に自生している野生のバラの代表種で、バラの台木として用いれるほど丈夫で育てやすいと品種です。一重の一季咲きノイバラは、四季咲きや八重咲きのような豪華さはないものの、純白の花がまとまって咲く姿は本当に美しいですね。秋になると、赤い実(ローズヒップ)はリースなどのクラフトづくりにも利用できるのも魅力です。

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バーコラに誘引したノイバラ

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花がまとまって咲く姿が美しい

バラの野生種といえば、ハマナスも有名ですね。別名「ハマナシ(浜梨)」とも呼ばれます。こちらも数年前に定植してボリュームが出てきました。鮮やかなピンク色はポタジェのアクセントになっていますが、そばを通り過ぎるだけでふんわりと香るところも気に入っています。

ドライにした花びらは、ほんのりと甘い味と香りのハーブティーとして利用できます。ハマナスの花びらには、乾燥や加熱にも壊れにくい特殊な構造を持つビタミンCが含まれていて、アイヌの人たちはビタミンCが取りづらい冬の間、ハマナスの花びらを煎じて飲んでいたそうです。

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花びらを乾燥してハーブティーにも

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大きくなりすぎないように適度に剪定しながら管理する

ほんのり青みがかった淡いピンクの花が美しいバラ‘シューネコッペ’。ハマナスをもとにした品種ということもあり、とても強健で耐寒性もある品種です。枝には細かな棘(トゲ)があるところはハマナスと似ていて、品種の特性に思わず納得してしまいます。

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数年前、苫小牧にある観光庭園&セーセリー「イコロの森」にて購入

そのほかにも、バラは‘ウィリアムスモーリス’や‘メアリーローズ’、ランブラーローズの‘エヴァンジェリン’や青バラ系の‘ノヴァーリス’、半つる性の‘ローズシナクティフ’を育てています。今年は例年に比べ凍害にあう枝が少なかったおかげで、どのバラも生育がよく、見事な花を付けてくれています。

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優しいピンク色のウィリアムモーリス

10年ほど前に植えたエルダー。今年、やっと花が咲いてくれました。エルダーはレンプクソウ科(スイカズラ科)、和名は西洋ニワトコ。ハーブの一つで、低木~小高木になります。
「エルダーフラワー」と呼ばれるエルダーの花は、イギリスでは「庶民の薬箱」と呼ばれ、ハーブティーやシロップに漬けた「コーディアル」も人気があります。マスカットのような香りがするハーブティーは優しい味わいで、憂鬱(ゆううつ)な気持ちを和らげる効果や風邪のひきはじめ、花粉症を緩和してくれるなど万能ハーブとしても有名です。たくさん花が咲いたら、自家製コーディアルをつくりたいと妄想中です。

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小さな花が房状にまとまって咲くエルダーの花

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緑が映えるようにフェンスをDIY中

ガーデンの植栽としても人気のレディースマントルも、優しい黄色の花が咲いています。「アルケミラ モリス」とも呼ばれ、宿根草の庭では定番。
レディースマントルはバラ科の宿根草で、花と葉はハーブティーとして利用できます。レディースマントルティーは、生理痛や更年期障害、生理不順など婦人科系疾患や、のどの痛みや口内炎を和らげるといわれ、古くから薬草として利用されているそうです。ハーブティーにも利用できるうえに、ガーデンの植栽としても利用できる魅力的な植物ですね。

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地面を覆うように育つレディースマントル

いつもは苗を購入して育てていた、ドライフラワーとしても人気のあるラグラス バニーテール(イネ科、一年草)。今年はリースやスワッグづくりのセミナーのためにも多めに欲しいと思い、インターネットでタネを取り寄せて育ててみました。「上手く育つかな?」と少し不安でしたが、フワフワの穂がたくさん付いてくれました。リースやスワッグづくりが楽しみです。

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ラグラスは、「野ウサギのしっぽ」という意味。フワフワの穂が可愛い

白いペンキを塗った素焼き鉢には、イチゴが実っています。このイチゴは10年ほど前に通っていた「さっぽろ農学校」で栽培していた「さとほろ」という品種。札幌市農業センターが長い年月をかけて育成し、1993年に品種登録された札幌生まれの品種で、幻のイチゴといわれています。

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「さとほろ」は、果肉の中まで赤く、甘酸っぱい味わい

数年前に設置したパーコラから、はみ出すほど旺盛につるが伸びたコクワ(サルナシ)。今年は、たくさんの白い花が咲いてくれました。実が完熟するのは晩秋になりますが、こちらも楽しみです。

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オフホワイトのサルナシの花

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緑色の葉とパーコラの白色とのコントラストが美しい

春に植えた野菜はまだ小さいものの、宿根草の植物が勢いよく育つ7月初旬の北海道。そんな植物たちに元気を分けてもらっているように日々感じているところです。

プロフィール


藤井 純子
「Pure Potager(ピュア ポタジェ)」代表。ポタジェ・アドバイザーとして道新文化センター札幌校などのセミナー講師のほか、新聞・雑誌にて執筆活動を行なう。また、ポタジェの魅力を一冊にまとめた「Green Finger ポタジェ~小さな庭が与えてくれる恵みと幸せ~」を執筆。「コーチャンフォーミュンヘン大橋店」で取り扱いのほか、HPに掲載のネットショップを利用。またはAmazonでも販売、「ポタジェ」で検索。

HP  ピュア・ポタジェ 
Instagram pure.potager
YouTube ポタジェ『心と身体を癒す庭へようこそ』 @lifewithpotager401



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